不動産契約の書面文化からの脱却〜駐車場契約・管理のDXにより90%以上の業務効率化を実現〜

 
【プロフィール】
株式会社ジェイエーアメニティーハウス古谷田 晃生 氏(取締役 賃貸管理部 部長)※写真右
JA(農協)グループ神奈川の賃貸管理会社として1999年10月に設立した㈱ジェイエーアメニティーハウスに2002年5月に中途入社。長年、賃貸管理営業として従事。2017年6月、賃貸管理部 部長 兼 子会社である仲介専門会社㈱アメニティーハウジング 仲介事業部 部長を経て、2021年6月に取締役に就任。
 
株式会社ニーリー下野 昭一(執行役員 営業部長)※写真左
2001年GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社に入社。SMBをターゲットにマーケティングならびにセールスを担う。最終役職はエンタープライズのセールス副本部⻑に就任。その後、2012年よりIT系企業のアイティーエム株式会社にてエンタープライズ向けクラウド事業の立ち上げを実施。2016年にAmazonWeb Services Japanへ転職し、担当部⻑に就任。2019年10月より株式会社ニーリーに参画。
 

社内の駐車場契約管理システム開発の構想から一転したPark Directとの出会い

 
(下野)Park Direct事業の開始が2019年11月で、御社には同年12月のリリース直後にお申込みいただきました。Park Directのサービスの初期であり、まだ導入事例も実績も少ない時になぜ導入いただけたのか、その理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
 
(古谷田氏)月極駐車場の契約は、書面での記入・捺印は不要で、電子契約でできるようにしようという考えで元々いました。その中で、電子契約だけではなく、WEBで駐車場の申し込みから契約まで一気通貫で出来るような仕組みを自社開発していこうと考えていました。そんな中で業界紙にPark Directの記事が取り上げられていたので、自分が考えていることを全てやっているシステムだと思い、ニーリーさんに声をかけさせていただきました。
 
(下野)ちなみに、駐車場が宅建業法から外れているからオンライン化を積極的にやっていきたいとお考えになられてた、というお話だと思うのですが、大体いつ頃からそう考えてらっしゃったんですか?
 
(古谷田氏)たしか、2019年の4月頃に社内で「駐車場のオンライン契約のシステムを作ってね」という話をした記憶があります。
 
(下野)なるほど。駐車場契約のオンライン化への取組みのタイミングとしては業界のなかでもかなり早かったのではないでしょうか?
 
(古谷田氏)以前から賃貸住宅の既存契約者の電子更新をやっていたので、それができるのであれば駐車場の契約は申し込みから契約締結までできるだろう。また、新規だけではなく更新契約もできるんだろうな、という考えがありました。
 
(下野)2019年の4月くらいから駐車場のオンライン化を考えられていて、弊社としては同年12月にご採用を賜るのですが、その間他社さんなど、何か比較検討されたのでしょうか?
 
(古谷田氏)そうですね、もう1社比較検討させていただいています。サービス内容を比べるとほぼ同じだったかな、と思います。金額面でいうと多少もう1社の方がよかったかなという記憶をしています。ただ、なぜニーリーさんを選んだかというと、「対応の誠実さ」ですかね。あとは「会社の成り立ち」ですね。御社の場合は元々システム会社というのもあったので、そういったサービス開発は早いんじゃないかな、というところが決め手になりました。
 
(下野)ありがとうございます。御社がオーガナイザーとなり、JA様がお持ちの駐車場だけが掲載される『JAパーキングネット』を構築する、という構想を実現するための開発についても弊社にポテンシャルを感じていただいた、そんな整理でよろしかったでしょうか。ありがとうございます!(2021年4月より事業提携:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000045188.html)
 
(古谷田氏)(下野さんが)誘導してる、(笑)
 
(一同)(笑)
 
 

駐車場契約のDX化による業務工数は90%以上減

 
(下野)Park Directを2019年の12月からお使いいただくことで、御社内がどのように変わったか、御社の業務効率やDX化に向けてPark Directがどういう効果を御社にもたらしたか、というところをお伺いしてもよろしいでしょうか。
 
(古谷田氏)これまでの月極駐車場の契約は、お客様からの電話問合せ→申し込み→申込書の記入→入居の審査→契約書を作成して捺印→弊社が捺印したものをお客様のご自宅に送付、という形になっていました。Park Directを導入したことによって今話した内容が全てWEB上で一気通貫してできる、というところなので、対エンドユーザーの業務で考えるとほとんどなくなったかな、と思います。
 
 
(下野)これまで(Park Direct導入以前)の話でいうと、お問い合わせの電話から契約締結後の書面の返送まではどれくらいお時間かかっていらっしゃったんでしょうか。
 
(古谷田氏)全て完了、というところまででいうと5日程度はかかっていたんじゃないかなと思います。
 
(下野)私たちも当然御社のPark Direct経由のお客様がどれくらいのスピードでついていらっしゃるのかは拝見させていただいておるのですが、約5営業日かかっていたものが、おおむね数時間で契約完了になっています。契約完了までにかかる時間としては90%以上のお時間を削減できているかと思います。
 
(下野)さらに、なぜここまで駐車場管理のDX化に取り組まれているのか踏み込んでお伺いしたいと思います。ちょうどPark Directを導入いただいてから2年くらいの間で、16拠点の316台を新規で受託されています。駐車場管理の観点だけではなく、不動産管理事業者様として将来的な土地の活用など、どのように事業戦略をお考えでしょうか。
 
(古谷田氏)ジェイエーアメニティーハウスの本業はアパート・マンションの管理会社となっているので、アパートマンションの管理戸数の拡大、というところが会社の中の大きなテーマになっています。その際に、アパート・マンションの管理を獲得するには、アパート・マンションが建つ前の土地である、月極駐車場の管理から行う必要があります。一方で、月極駐車場というのは管理の業務のわりには収益性が低い、ということもあり、積極的には新規の駐車場契約の獲得には動いていませんでした。ただ、Park Directを入れたことによってエンドユーザーへの対応業務が削減できたので、そこにかかっていた人員をオーナー様への対応業務に増やすことによって、結果として月極駐車場の管理数を増やすことができたと思っています。
 
(下野)まさにSaaSプロダクトを提供している私たちにとっては大変嬉しい事例だと思いました。駐車場の管理受託そのものを面倒だとおもわれている管理会社様もいらっしゃって、砕けた言い方をすると「駐車場を受託しても面倒くさいけど儲からない」そんな中Park Directを入れて儲からない事業に対して従来かけざるを得なかったリソースを減らしていく。そこで浮いたリソースを活用して積極的な管理受託をされて、将来相続のタイミングで売却になったり、場合によっては新たに物件を建ててくれたりして、結果的に住宅側の管理戸数拡大にもつながる。ということですよね。
本来注力したい業務に向き合っていただくために、その他の業務をDX化して工数圧縮をしていく、ということがまさに実現していただいている事例だと感じました。
 

今後は車庫証明書の発行もPark Directでできることを期待!

 
 
(下野)今後のPark Directのサービスにもっと期待をされていらっしゃることって何かありますでしょうか。
 
(古谷田氏)現場からの話ですと車庫証明業務が残ってしまっているので、そこもWEB化していただきたいかなと思っています。ただ、これは警察署との調整が必要となってきてしまうので、時間がかかってもしょうがないのかなという認識でいます。また、既存契約者(Park Direct導入前の契約者)の切り替えをスピーディに進めていきたいと考えています。全て切り替えが終わると、駐車場契約者との紙契約が全て手離れし、完全にDX化にシフトするのでそこを期待しています。
 
(下野)ありがとうございます。1点目の車庫証明書については、やっと本年の3月に全ての都道府県の警察署において印鑑が不要になりました。ただ、47都道府県、もっというと各市区町村でちょっとずつフォーマットが違うのです。
 
(古谷田氏)市区町村でも違いがあるんですね。確かに、微妙に違うものとかあったかもしれないです。
 
(下野)今まさに検討しているところではありますが、この辺りの問題を解消することができれば車庫証明書の発行業務もPark Directの方で承ることができるかなと考えております。
 
(古谷田氏)ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 
(下野)2点目の既存契約者様のPark Directへの切り替え、これは今まさに御社に取り組んでいただいていて、弊社でも継続して進行中ですので、今後全て切り替えることができれば更に駐車場管理業務を圧縮していただけるかなと思っています。
 

 
(下野)最後に、少し未来のお話なのですが、私たちは今2-3週間に1回Park Directの機能拡張をさせていただくほか、さまざまなサービス展開をしています。
私たちPark Directは月極駐車場にとどまらず、もっと管理会社様や借主様、管理会社様の向こうにいるオーナー様に付加価値をつけていきたいと考えています。その一つとして今年1月からは大手石油元売会社様と、Park Direct経由で駐車場を契約いただいた方向けに、ガソリンクーポンのタイアップ企画を実施しております。また、今後EVが普及していく世界において、Park Directは必ず駐車場利用者様の車検証をいただいているので、その車の動力がわかります。ガソリンなのか、軽油なのか、電気なのか、もしくは水素なのか。私たちはどの車が何で動いているかっていうのはわかっているので、その電気比率が高いところにEV充電スタンドを設置するような取り組みを事業者や商社の方々と一緒にやっていきたいと考えています。
その活動が管理会社様やオーナー様にどんなインパクトがあるのかと申しますと、一つ目は集客の観点です。EV充電スタンドがある駐車場という時点で、現状のEV普及に向けた世の中の動きを踏まえると駐車場の人気度があがりやすいと考えています。もう一つは、収益効率アップの観点です。EV充電については借主様から電気代をサブスクリプションで頂戴する形になると思うんですが、その売り上げの一部をオーナー様とレベニューシェアすることが出来たりすると、オーナー様も自分の土地で賃料以外のお金を作っていっていただけるようになります。そういったことが実現できると「いままでよりも収益が増やせるのであれば、駐車場管理はJAさんにお願いしたいよ」という声が、オーナーさんからくることもあるんじゃないかなと考えております。これが私たちが将来的にやっていこうと思っていることなんですが、今までの私の話に忌憚のないご意見をいただけますでしょうか。
 
(古谷田氏)電気が主流になるのは間違いない話だとおもっています。私個人で言えばずっとリーフに乗っているので。やっと時代が私に追いついた、って感じ
 
(一同)(笑)
 
(古谷田氏)これが将来的には当たり前になると思います。また、オーナー様に提案するときにはバックデータがないと中々ご理解いただけないので、この駐車場にはEV自動車がこれだけあるよというデータをいただけるのであればオーナー様への提案はしやすいかなと思います。何もない状態でEVスタンド建てましょうって話しても「何を言っているの?」ってなるので。データがあることは非常にありがたいですね。(古谷田氏)これから色々な展開をしてくれるんだろうという期待は勿論しています。
 
(下野)ありがとうございます。